今年のゴールデンウィーク、僕は思いきって1人でバーベキューをすることにした。
周りの友人たちは、家族サービスだの、彼女との旅行だの、忙しそうにしている。そんな中、独り身の僕は、ぽっかり空いた連休をどう使おうか悩んでいた。
「どうせなら、ずっとやってみたかったことをやろう」
そう思い立ったのが、1人バーベキューだった。
まず、道具を揃えるところから始めた。
ホームセンターでコンパクトな炭火グリル、炭、トング、着火剤を購入。食材はスーパーで牛カルビ、豚トロ、焼き鳥セット、ウィンナー、それに野菜を適当に。ビールと、ちょっと贅沢なクラフトチューハイもカゴに入れた。
普段、こんなに大量に肉を買うことはない。なんだかワクワクしてきた。
場所は、家から自転車で30分ほどの河川敷の公園。
GWなのでファミリーやグループで賑わっているが、意外と「1人バーベキュー」をしている人もちらほら見かけた。
「仲間がいるじゃないか」
そんなふうに、ちょっとだけ勇気をもらった。
シートを敷き、グリルを組み立て、炭に火をつける。
最初は火がなかなか起きず焦ったが、うちわで仰いでいるうちに、なんとか赤々とした炭火になった。
まずはウィンナーを焼く。じゅうじゅうと音を立てて焼き目がつくと、なんとも言えない香ばしい匂いが広がった。
串を刺した焼き鳥をそっと網の上に置き、隣では牛カルビを焼き始める。
じりじりと脂が落ち、炎が上がる。
「これだよ、これ!」
思わず声に出してしまった。
1人だから、誰にも遠慮せず好きなタイミングで、好きなだけ食べられる。
肉をかじりながら缶ビールを開ける。
風に吹かれながら冷たいビールを流し込むこの瞬間、幸せしかなかった。
しばらくして、隣にテントを張っていた家族連れのお父さんと目が合った。
「いいですね、1人バーベキュー」
声をかけられ、少し恥ずかしかったが、
「最高ですよ」と答えた。
相手も「うちも混ぜてもらおうかな」と冗談めかして笑っていた。
こういう何気ないやり取りも、1人だからこそ嬉しい。
肉がひと段落した後は、持ってきた野菜(ピーマン、しいたけ、エリンギ、アスパラ)を焼いた。
特にアスパラは、軽くオリーブオイルを垂らして焼くと、驚くほど甘みが出て、びっくりした。
普段、家でこんなに手間をかけて料理しないから、余計に感動する。
後半は、焼きマシュマロに挑戦した。
串に刺して、炭火でじっくり炙ると、表面はカリカリ、中はとろーり。
子ども向けかと思っていたけど、大人でも十分楽しめる。
最後のデザートにふさわしい締めだった。
ふと時計を見ると、もう夕方。
河川敷の風も、昼間より少し冷たくなっていた。
少し名残惜しかったけど、炭をしっかり消火し、ゴミをまとめて片付けた。
来たときよりきれいに。これは1人でも絶対に守るマナーだ。
帰り道、自転車をこぎながら思った。
1人バーベキュー、めちゃくちゃ楽しかった。
誰かと一緒もいいけれど、1人だからこそ得られる自由と達成感があった。
GWに1人で何かするのは、寂しいことじゃない。
むしろ、自分と向き合う最高の時間だった。
今年のGW、一番の思い出は間違いなく「1人バーベキュー」になった。
来年もまたやろう。今度はもう少し、グレードアップした道具で。